広告業界のガリバー「電通」に、カトク(過重労働撲滅特別対策班)が入った。原因となったのが、新卒で入社しながら、
過重労働のために命を落とした女性従業員の両親からの告発だったのだ。日本の最高学府の頂点に立つ大学を卒業した
彼女にとって、「電通」への入社は、まさに希望通りで身の丈に合ったものだったろう。私も長い間、広告業界に身を置くもの
として「電通」の存在は、憧れであり、脅威であり、雲の上のものだった。正直、日本のマスコミは「電通」抜きでは存在できないだろう。
オリンピック、ワールドカップ、テニスにゴルフなど、あらゆる電波・イベント・SPを牛耳ていたのが「電通」なのだ。
彼女の所属していたセクションがネット部門だったとニュースは伝えていた。大手広告代理店にとって、一番弱いセクションだ。
ネット広告の世界には大手広告代理店の領域は少ない。
2014年のネット広告売上ランキングを見てみよう
1.サイバーエージェント
2.DAC(デジタルアドバタイジングコンソーシアム)※大手広告会社の共同出資
3.オプト※電通と提携
4.セプテーニ
ふた昔前なら、聞いた事もないような広告会社である。
それだけ、ネット広告の世界は新しく・早いのである。従来の手数料ビジネスから成果報酬へのパラダイムシフトが起きた広告業界。
未だに「右から左」でピンハネする発想の広告会社に、ネット社会が突きつける課題は少なくない。今こそ、発想の転換である。
そもそも、最大手の会社で、しかも、日本の頂点に立つ知識を持った社員が過労で自殺するなど、あり得ない!!
「育てるところ、伸ばすところ」を完全に見誤っている!肉体労働にしか価値を見出せない上司は即刻クビにするべきだ。
弊社にも社員目標で「一人で5人分の仕事をこなせ」という一文がある。しかし、これは、「5人分の過重労働をしなさい」という意味ではない。
一人の人間ができる仕事には限りがある。それを補うのは「頭」だ。つまり、資格や語学などの知識を身に着けることで、何人分かの仕事を
定時の中で完結できる。
現に私は、宅地建物取引士であり、FP2級技能士であり、生保・損保・少額短期保険募集人資格者である。
これだけで、本来、5人がやる仕事を一人でできるのだ。資格・免許の類なら、ほかにもいくつかある。
彼女の能力の幅を使えたなら、何人分の仕事をやってのけただろうか。
いまこうやって、このコラムを書いていても、彼女の悲痛な叫びが聞こえるようだ。